自分のブログ名

sheephumanのブログ

ひつじ好きな人間のブログ。

漫画村的な海賊版サイトはどういった影響を及ぼしているのか?

 

 マンガ海賊版サイトを利用する人々の大半は利用を「悪い事」だと考えておらず、様々な理屈を展開し、自分を正当化しようとする。恐らく”なんとなく後ろめたい”からであると思う。

 

 

では、「マンガ海賊版サイトは外貨の流出に等しい」と書いたのであるが、今回はそれが具体的にどういった影響を齎しているのかを論じていく。

 

 

 

一人の個人が漫画村を継続的に利用すると何が起こるのか?

・雇用が喪失し、GDPが下がり、町が不景気になる

 →経済というものは周囲の分野と密接に繋がっているため、その周辺の様々な業態の不景気に繋がっていく。

 →街から書店を閉鎖させ、中古書店も売り上げが大幅に落ちる

 →周辺の街から活気が段々失われる

 

これが漫画村が登場して以降、進んでいる現象である。

もちろん、漫画村が存在したことによるプラスの側面も無いわけではない。しかし、現状ではマイナスの側面が遥かに上回ると考えるのが妥当である。

 

業界はコロナ以前からこの状況に直面しているが、既に対応してきており、底辺ユーザーが言うところの不便さはほぼ解消されている。あとは利用に際して好みがあるに過ぎない。

 

 

漫画村の存在によるプラスの影響

・今まで存在すら知らなかった作品の存在を知る事が出来た

→そのため、続刊が発売されたらその本だけを購入した という事がたびたび起きている

電子書籍で見るという事の便利さが広まった

・更新が早く、あらゆる作品が無料で読めて便利である

・今まで顕在化してこなかった新たなニーズを掘り起こした

・マンガ業界のオンライン配信、サブスクリプション制が広まる事の切っ掛けとなった

 

 

漫画村の存在によるマイナスの影響

・マンガを通して構築されるべき広範な人間関係が失われた

・正規品の購入が減った

・ある作品の最新巻のみが買われるようになった

 →古いものは海賊版サイトでタダ読みすればいいよね、となりやすい

 →全巻買うものはよほど好きな作品だけ となりやすい

 

・書店、オンライン書店、中古品流通など、本来有料で買われるべきあらゆるものの売り上げが将来に渡って継続的に減少している。

 

・作家の生活持続性が失われ、プロとして生きて行くという事がほぼ不可能になる。

 →取材費も捻出出来ないので、画一的でローコストな作品以外は生産しにくくなった

 →現在生活出来るのはごく一部の有名なプロ作家たちのみである

 

よって、漫画村的なサイトの文化的な役割はとっくに終わっているものと解釈していい。日本の業界は彼らの存在をこれ以上許容できないし、すべきではない。

 

漫画村系サイトと正式なマンガ配信サービスとの違い

 漫画村

・全て無料である

・人気のある作品はだいたい全て読める

・広告ブロッカーがないと快適に読めない

 →大抵のサイトはかなり大量の広告を読み込ませたり、リダイレクトで勝手に飛ばしたりする

・一部サイトはUIも洗練されてきている

 →お気に入りへの追加や追加人数の表示なども行われているサイトがある

・正式なサービスではないため、正式なサービスにあるべき様々な文章が書かれていない

・正式なサービスではないため、作品に対してコメントが出来ないか、しづらい

・対価を払わずに読めるため、作品制作のコストが意識されなくなる

 

 

正式なマンガ配信サービス

・最初の数話から無料で、場合によってはキャンペーン等でまとまった話数は読める

・コメントが出来るので、交流が活発である

・一定の話数以降は有料である。 

・一部には広告がある

・いいね数などで人気が可視化されている

 

漫画村系サイトを利用する人々の詭弁

漫画村系サイトは業界によりよいサービスを提示してやっているんだ的な論旨

 前回の記事でも書いたが、既にマンガのサブスクリプション制もあるし(月額550~1480円ぐらい)、マンガ喫茶もあるので、ユーザーがマンガを愉しめる多様な環境は一通り揃っていると解釈していい。それは2020年以前までに言われている事であって、既に周回遅れの認識と言わざる負えない。つまらない言い訳はもうやめよう。

 

 

漫画村系サイトがあるからといって、売上減少には繋がっていない。売上の減少は出版社等の業界の怠慢である

 これに関してはやや複雑な経路があるの考えられるのだが、少なくともマンガ村が存在しない2000年代を考えてみて欲しい。

 そしてオンライン配信も適切な議論や作家とのやり取り、法的手続きに則って行われ、海賊版サイトは存在はしていてもアングラ的で小規模でほぼ知られていない世界というものを想像してみて欲しい。

 

気が向けばbookOffに立ち寄ったり、マンガ喫茶に行っていたあの頃である。もはやレトロにさえ感じられるのだが、あくまでもアレが普通なのである。

 

少なくとも、今より遥かに好景気になっていると考えるのが妥当である。

もし鬼滅の刃等のビッグムーブが無かったら?海賊版に駆逐されていたら?今よりもっと不景気だったのは想像に難くない。

 

確かに日本の業界は対応が遅い上に、ユーザーの快適さなんかはあまり考慮しない傾向にある。しかし、もう2023年以降は様々なマンガ配信サービスが多すぎるぐらい存在しており、適切な競争が行われている。ある程度のネットワーク帯域さえあれば読みたいマンガは快適に読める。海賊版サイトの文化的役割はとっくに終わっており、その目的だけが今もなお継続している

 

漫画村系サイトの目的

・多くのアクセスを捌くことで広告収益を得る

・コレクター的な蒐集欲や自尊心的感情を満たせる

・海外の人間(今では中国人、人など、日本を訪れて作品に興味を持った人々が中心)が日本人の若者のアクセスを当てにして運営している

マンガをわざわざ購入する「頭の悪い人」を見下す事が出来る

 

漫画村は無限に吸い続けられる阿片のようなものである

 マンガ海賊版サイトの利用には、現実に生きるコスト以外にほぼ制限がない。この事は、私たちの繋がりや文化、連帯感といったものを分断する方向に働いている。

 

漫画村系サイトの利用者とは?

・若年層や低所得者が中心

-その他、「マンガにお金を出すほどではない」と考えるより多様な層

 

 彼らは一般的に、そこまで掘り下げて考えるという能力がほぼないし、そんな面倒な事はしない。

読みたくなったらアクセスして読むという流れが全てなのであり、その行動には喫煙のようにしつこい習慣性がある。既に味を占めているし、読まないと落ち着かなくなったりもするだろう。既にビョーキであると思う。

 

 そして、手持ちの端末でほぼ無制限に読めてしまうため、彼らから「漫画村系サイ

トでマンガを読む」以外の選択肢を奪ってしまう事に繋がる。これは致命的であると言っていい。まさに阿片のごとき中毒性を有していると解釈出来る。

 

 彼らは読めない状況であったり、読む行為を否定される事に強いストレスを感じる為に理性的な判断というものが出来ず、漫画村系サイトを正当化しようとする。

 

繰り返すが、既に彼らのいう不便さはほぼ解消されている状況にある漫画村系サイトが読めるほどの帯域があれば、正式なマンガ配信サービスは問題なく読める筈である。

 

 

出版社やマンガ作家に対価を払えば、いずれ自分に返ってくる

 漫画村系サイトの存在を知ってしまうと、それらを利用したくなってしまうのは日本人の病的な習性である。しかし、正式なマンガ配信サービスを通す事で、いずれ自分の状況も好転されるという認識を持つ事が大切である。

 

 マンガ業界の市場規模は6,770億円であり電子版コミックの普及により伸びてきている状況にもある。そのうち毎年550億円ほどを漫画村系サイトに”抜かれている”※1。この事実は下手な政治家の裏金騒動よりも遥かに広範囲に影響を及ぼし、住んでいる街を不景気にしていくことだろう。

 海賊版サイトが今より半分の規模になれば、状況がある程度まで好転する事が見込める。

 

shuppankagaku.com

 

 

※1 前回の記事にも書いたが、収益をネットワーク帯域業者、広告出稿者、Cloudflare等と山分けしており、運営コスト次第では十分な収益が入ってこない事も多い。これは単なる趣味的な自己満足で運営している側面が多分にある事を示唆している。